検診で見つかった肺結節について、何を考え、いつまで追えばよいのかを文献をもとに整理しました。この記事はその内容を、内科医の立場からまとめたものです。
「日本CT検診学会 肺がん診断基準部会編. 低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方 第6版. 2024年3月改訂」をベースにまとめました。
以下の図は上記ガイドラインをもとに作成したフローチャートです。あくまで対象は「検診」でひっかかった患者さんです。これをもとに解説していきます。

肺結節を評価する5つの項目
肺結節を見たときに評価する項目を、濃度、形、サイズ、数、時間の5つに分けました。画像診断誌の特集の総論で、鑑別に必要な項目として挙げられているものをもとにしています。

総論では、次のように述べられています。
鑑別診断には大きさ・数(単発/多発),内部性状,辺縁性状,周囲の異常などを十分に評価することが重要である.また,経時変化は鑑別診断において非常に有用な情報である
(石川浩志. 画像診断 2022;42(6):479)
どれか1つの所見だけで判断してはいけません。同じ総論の「おわりに」には、一部のCT所見に頼って鑑別を行うことは困難であるばかりか危険ですらある、とも書かれています。5つをすべて評価してから、鑑別と経過観察の期間を考えます。
① 濃度:3つの型に分ける
充実型・部分充実型・すりガラス型
日本CT検診学会の「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方」第6版(以下、第6版)では、精密検査を行う医療機関では、薄層(シンスライス)CTで測った最大径を用います。そのうえで、最大径6mm以上の肺結節を3つの型に分類します。
- 充実型:結節の内部にある血管や気管支が透けて見えないもの
- 部分充実型:すりガラスの部分と充実した部分が混ざっているもの
- すりガラス型:充実した部分を含まず、内部の肺血管や気管支が透けて見えるもの
第6版では、すりガラス影は薄層CT上で使う用語と定義されています。厚いスライスの画像では、少量のすりガラス影を見逃すおそれがあるため、この分類は薄層CTで行うことが前提になります。



充実型:良性を示唆するのは石灰化と脂肪
充実型結節で、CTだけで良性と言える所見は、結節の内部の石灰化と脂肪です。石灰化は肺野条件では見えにくいことがあるため、縦隔条件や骨条件でも確認します。びまん性、中心性、層状、ポップコーン状の石灰化は良性を強く示唆します。脂肪があれば、過誤腫を考えます。
石灰化も脂肪もない場合は、形で判断することになります。多角形、扁平形、線状形は良性を示唆する所見です。良性で多いのは、肺内リンパ節や過誤腫です。
一方、スピキュラ、ノッチ、胸膜陥入があれば悪性を疑います。その場合は、1か月以内の短期CT、PET-CT、組織採取に進むことが推奨されています。

部分充実型:まず3か月後に消えていないかを見る
部分充実型は悪性の可能性が高い型ですが、炎症でも部分充実型になることがあります。そのため、まず3か月後に薄層CTを撮影し、縮小や消失がないかを確認します。
3か月後も残っていれば、充実部分の大きさを測ります。充実部分が8mm以上であれば、確定診断に進みます。この8mmという基準は、第6版で5mmから変更されたものです。
ゆっくり大きくなる結節は、1回前の画像と比べてもほとんど変化がないように見えます。ところが、数年前の画像と比べると大きくなっていることがあります。前回の画像だけでなく、できるだけ古い画像とも比べてください。
鑑別としては、異型腺腫様過形成、上皮内腺癌、微少浸潤性腺癌、浸潤性腺癌が挙がります。良性では出血や炎症も鑑別になります。
充実部分が大きいほど、浸潤癌である可能性が高くなります。図6は、充実部分の大きさと病理を並べた例です。

すりガラス型:ゆっくり大きくなるので5年間経過を見る
すりガラス影だけでできた結節を、すりガラス型結節(pure GGN)と呼びます。肺結節は最大径3cm以下の限局した陰影を指し、3cmを超えるものは腫瘤と呼ばれます。
腺癌の細胞が、肺胞の中の空気を残したまま肺胞の壁に沿って広がると、CTではすりガラス影として見えます。この広がり方は置換性増殖と呼ばれます。
ただし、限局した炎症でも同じような影になります。孤立性のすりガラス型結節や部分充実型結節で主な鑑別になるのは、限局性炎症です。限局性炎症は短い期間で出現して消えるため、経過を見ることや過去の画像を参照することが、最も有力な鑑別の方法になります。3か月ほど経過を見ても消えない、または縮小しないすりガラス型結節では、肺腺癌の可能性を考えて対応します。
すりガラス型の肺腺癌は、大きくなる速さも遅いことが分かっています。結節の体積が2倍になるまでの時間を、倍加時間と呼びます。倍加時間は、悪性の充実型結節では400日以下とされていますが、すりガラス型の肺腺癌では平均725日と長いことが報告されています。このように進み方が遅いため、第6版ではすりガラス型結節の経過観察を5年間と長く設定しています。
② 形:良性と悪性を見分ける所見
単発の肺結節で、良性と悪性を見分けるための所見を表にまとめました。
| 所見 | 良性らしい | 悪性らしい |
|---|---|---|
| 形態 | 円形〜類円形 | 不整形 |
| 辺縁性状 | 辺縁平滑 | 辺縁不整、分葉状、胸膜陥入、スピキュラ |
| 石灰化 | 中心性、びまん性 | 点状、偏在性 |
| 空洞 | 薄壁、辺縁平滑 | 壁が厚く、辺縁不整 |
| 造影効果 | 15HU未満、均一 | 20HU以上、不均一 |
| すりガラス影 | 縮小、消失 | 増大、内部吸収値の上昇 |
スピキュラは、結節の辺縁から周囲に向かって伸びる、棘のような線状の影です。胸膜陥入は、結節が周りの組織を縮めることで、胸膜が結節のほうに引き込まれている像です。


ただし、スピキュラやノッチは悪性の特徴とされる一方で、良性の病変でもしばしば見られます。石灰化についても、点状や偏在性の石灰化の多くは良性で、悪性の可能性が若干残るという扱いをしている文献もあります。形だけで良性か悪性かを決めることはできません。
③ サイズ:6・8・10・15mmの意味
一般に、結節が大きいほど悪性の可能性は高くなります。ただし、大きさだけで良性か悪性かが決まるわけではありません。第6版に出てくるサイズの基準は、次の4つです。
| 径 | 意味 |
|---|---|
| 6mm | 検診の段階で、精密検査に回すかどうかの境目。平均径が6mm未満であれば、12か月後の検診CTを勧める |
| 8mm | 部分充実型で、充実部分がこれ以上あれば確定診断に進む |
| 10mm | 充実型で、これ以上あれば確定診断に進む |
| 15mm | 部分充実型とすりガラス型で、結節全体がこれ以上あれば確定診断を考える。すりガラス型は、3か月後も変わらなければ確定診断に進む |
表2 第6版に出てくるサイズの基準。
6mmの判定だけは、最大径と短径の平均を使います。精密検査を行う医療機関での基準は、すべて最大径です。
④ 数:多発結節は分布から考える
ここまでは、結節が1つの場合について書きました。結節が多発している場合は、次の順番で鑑別を絞り込みます。
1.分布を見る。肺の中にランダムに散らばっていれば血行性、気管支や血管の周り、小葉間隔壁といった広義間質に沿っていればリンパ行性、小葉の中心にあれば気道性と考えます。
2.結節以外の所見を拾う。空洞、リンパ節の腫大、広義間質の肥厚、tree-in-bud、粒状影などです。肉芽腫性疾患では、ほぼ必ず何らかの副次的な所見があるとされています。
3.臨床情報を重ねる。免疫が低下している患者か、がんのある患者か、発熱や体重減少があるか、原発巣があるかを確認します。
こうして、転移、感染症、肉芽腫性疾患、血管炎のどれに当たるかを考えていきます。
| 分布 | 疾患 | ポイント |
|---|---|---|
| ランダム(血行性) | 転移性肺腫瘍 | 大小さまざまな、境界明瞭で類円形の結節。下肺野、末梢に多い |
| 粟粒結核 | びまん性の粒状影で、胸膜に沿った粒状影も伴う。細かい粒状影を示す肺転移とは、CTだけでは区別が難しい | |
| 塵肺(珪肺症) | 呼吸細気管支や肺血管、胸膜下に珪肺結節ができ、両肺に多発結節や粒状影を示す | |
| リンパ行性 | 悪性リンパ腫 | 気管支血管に沿った多発結節。気管支血管周囲間質や小葉間隔壁の肥厚を伴う |
| 癌性リンパ管症 | 悪性リンパ腫と分布が似るが、広義間質の肥厚がより強い。肺転移の混在や胸水を伴うことが多い | |
| サルコイドーシス | 細かい粒状影が集まって大きな結節を作ることがある(sarcoid galaxy sign)。縦隔や肺門のリンパ節腫大が多い | |
| リンパ増殖性疾患(LIP、NLH、IgG4関連疾患) | 分布が似るため、CTだけでは区別が難しい。臨床背景、各種マーカー、他臓器の病変を合わせて判断する | |
| 小葉中心性(気道性) | 肺結核 | ほかの感染症より小葉中心性粒状影とtree-in-budが明瞭。結節や空洞が多い |
| 非結核性抗酸菌症(MAC症) | 右中葉や左舌区を主体とする気管支拡張に、結節や小葉中心性粒状影を伴う | |
| 気道侵襲性肺アスペルギルス症 | 気管支壁肥厚、区域性のすりガラス影やコンソリデーション。細菌性肺炎と紛らわしい | |
| 分布によらない | 血管侵襲性肺アスペルギルス症 | 周囲にすりガラス影を伴う結節(CT halo sign)。2週間ほどで空洞化する(air crescent sign) |
| 肺クリプトコッカス症 | 健常者にも起こる。境界明瞭な結節で、しばしば空洞を伴う。同じ肺葉の中に多発しやすい | |
| 多発血管炎性肉芽腫症 | 両肺の胸膜下や気管支血管周囲に分布し、しばしば空洞を伴う。副鼻腔炎やANCA陽性が診断に役立つ |
表3 多発結節の鑑別。國弘佳枝ほか. 臨床画像 2021;37(5):587-597、佐藤嘉尚ほか. 画像診断 2022;42(6):517-526 をもとに作成。



⑤ 時間:いちばん古い画像と比べる
過去のCTがあれば、結節が大きくなっているかどうかを確認できます。第6版では、6mm以上の結節であっても、経過の分かる過去のCTがあって増大していない場合は、必ずしも精密検査に紹介する必要はないとされています。
胸部CTがなくても、肺の下のほうの病変であれば過去の腹部CTに、肺の上のほうの病変であれば過去の頸部CTに写っていることがあります。過去の胸部X線も手がかりになります。
大きくなる速さからは、次のように考えます。
| 大きくなる速さ | 疑う病態 |
|---|---|
| 週から日の単位で急速に大きくなる | 炎症性結節 |
| 月の単位で速く大きくなり、かつ縮小することがない | 悪性腫瘍 |
| 年の単位でゆっくり大きくなる | 良性腫瘍 |
ただし、すりガラス成分を伴う肺腺癌は、年の単位でゆっくり大きくなります。遅いからといって、良性とは言えません。また、腫瘍に炎症が合併すると、急速に大きくなったように見えることもあります。
肺結節を指摘したときのフォロー(第6版)
ここまでの内容をもとに、第6版に沿って、肺結節を見つけたときの流れを図にしました。

フローチャートについて、次の4点を補足します。
- 増大は2mm以上とします。読影する人による測定の誤差が約2mmと報告されているためです。
- 石灰化を伴う陳旧性の病変は、経過観察の対象から外します。
- 「5年間不変で経過観察の終了を提案する」と明記されているのは、すりガラス型だけです。部分充実型も60か月まで追いますが、終了の書き方は明記されていません。
- 経過観察を終えたあとも、検診機関での定期的な低線量CT検診が勧められています。
どの基準を使うか
第6版は、低線量CTによる肺がん検診で見つかった結節を対象にしたものです。第6版の「おわりに」でも、実際の診療で見つかった結節については、患者の状況などを考慮して適切に使ってほしいとされています。
| 結節の見つかり方 | 参考にする基準 | 注意点 |
|---|---|---|
| 検診で見つかった | 日本CT検診学会 第6版 | 低線量CT検診で見つかった結節が対象 |
| ほかの目的のCTで偶然見つかった | Fleischner Society 2017 | 35歳未満、免疫が低下している患者、がんのある患者には当てはまらない |
| がんのある患者 | 原疾患の診療方針 | 転移の可能性を前提に、主科と相談して判断する |
表5 結節の見つかり方と参考にする基準。
また、救急外来のCTのように厚いスライスで撮影された画像では、そもそも3つの型に正しく分類できません。第6版を使うのであれば、まずシンスライスで再構成した画像を確認する必要があります。
結節と間違えやすい正常変異
鑑別を考える前に、その陰影が本当に結節なのかを確認する必要があります。次の4つは、結節と間違えやすい正常変異です。
- 胸膜直下の粒状影:胸膜に接した、限局した胸膜肥厚のように見える小さな影です。水と同じ濃度のことが多く、生理的なリンパ液のたまりを見ていると考えられています。体位を変えて撮影すると区別できることがあります。
- 胸腔内結石:胸腔の中にある、石灰化した小さな遊離体です。胸腔内を移動するのが特徴で、以前のCTと位置が変わっていれば診断できます。肺の石灰化結節と間違えられやすいとされています。
- 胸腔内の脂肪(pleural appendage):胸水や気胸があるときにだけ、胸腔内に突き出た脂肪として見えるものです。
- 肺内リンパ節:大きくても1cm前後で、胸膜の下に多く、多角形や三角形をしています。胸膜につながる線状の影や、肺静脈とのつながりが特徴です。第6版でも、肺内リンパ節と判断できる場合は、必ずしも精密検査に紹介する必要はないとされています。


見落としやすいところ
第6版には、読影で見落としやすいところも挙げられています。
- 肺門の近くでは、肺の血管と結節を区別する必要があります。
- 太い血管や縦隔に接している結節は見落としやすくなります。
- 気管や気管支の中の病変も見落としやすくなります。
- 胸膜に接している病変では、肺内リンパ節との区別が必要です。
- 肺気腫や間質性肺炎など、もともとある病変の中に出てきた陰影は見落としやすくなります。気腫や間質性変化の中にできた肺癌は、典型的でない見え方をしやすいとされています。
- 肺嚢胞の壁が厚くなっていないかも確認します。
補足
単発肺結節の鑑別
| 分類 | 疾患 |
|---|---|
| 悪性 | 原発性肺癌、転移性肺腫瘍、悪性リンパ腫、カルチノイド腫瘍 |
| 良性:腫瘍性 | 過誤腫、硬化性肺胞上皮腫 |
| 良性:感染性 | 限局性器質化肺炎、肺膿瘍、結核、非結核性抗酸菌症、真菌(クリプトコッカス、アスペルギルス)、細菌(ノカルジア、放線菌) |
| 良性:血管性 | 肺動静脈奇形、肺梗塞 |
| 良性:代謝性 | アミロイドーシス |
| そのほか | 肺内リンパ節、円形無気肺 |
胸部CTで見られるそのほかの正常変異
| 部位 | 正常変異 | ポイント |
|---|---|---|
| 気道 | 右傍気管嚢胞 | CTで2〜6.1%。胸郭入口部の気管の右背側に多い |
| 気管気管支 | 0.64%。上葉気管支の一部が気管から直接分岐する | |
| 副心臓支 | 中間気管支幹から心臓に向かって分岐する過剰気管支 | |
| 葉間 | 奇静脈葉・奇静脈間裂 | 胸部X線で0.4% |
| 副葉間裂 | S7とほかの下葉の区域を分ける下副葉間裂が最も多い | |
| 分葉不全 | 右肺で83.1%、左肺で50.0%。腫瘍や炎症がほかの葉に広がりやすい | |
| 胸腔・胸壁 | 下肺靱帯とintersegmental septum | 肺底部に見える線状影の正体 |
悪性確率の予測モデル
臨床所見と画像所見を組み合わせて、悪性の確率を数値で出すモデルもあります。代表的なものがBrock modelとMayo modelです。Brock modelは、喫煙歴のある集団の検診で見つかった結節を対象にしています。Mayo modelは、肺癌の既往や、5年以内にがんの既往がある患者には使えません。どちらも使える患者の範囲が限られているため、使う前に対象となる患者かどうかを確認する必要があります。
まとめ
- 肺結節は、濃度、形、サイズ、数、時間の5つを見てから、鑑別と経過観察の期間を考える。
- 脂肪や中心性の石灰化があれば良性を、スピキュラや胸膜陥入があれば悪性を疑う。
- 部分充実型は炎症でも起こるので、まず3か月後に消えていないかを確認する。
- 多発結節は分布を見て、転移、感染症、肉芽腫性疾患、血管炎のどれに当たるかを考える。
- 過去の画像は、前回だけでなく古いものとも比べる。すりガラス成分を含む肺腺癌は、年の単位でゆっくり大きくなる。
おわりに:「炎症後変化」と書く前に
読影レポートや診療録では、陰影を「炎症後変化」と書くことがあります。この言葉について、今回調べた範囲での私の理解を書いておきます。
炎症後変化という言葉は、炎症がすでに終わった跡、つまり陳旧性の変化という意味で使われます。第6版でも、石灰化を伴う陳旧性の病変は経過観察の対象から外すとされています。つまり、炎症後変化と書くことは、それ以上経過観察しなくてよいと判断することに近いのだと思います。
一方で、炎症後の瘢痕のように見える肺腺癌があることも報告されています。第6版も、陳旧性の陰影と判断してよいかどうかを、読影で注意すべき点の1つに挙げています。炎症後変化と書く前に、過去の画像と比べて、本当に変わっていないかを確かめる必要があったと考えています。
参考文献
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画像の出典
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図1、図12:筆者作成。


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