グラム陰性桿菌のグループ分け

感染症
PEK/PMSECK/PAS

※管理人所属の院内勉強会のメモです。

グラム陰性桿菌は、獲得しうる薬剤耐性機序に基づき、主に以下のグループに分類される。

PEK

ESBLsを産生する可能性がある腸内細菌目細菌のグループである。

  • 含まれる菌種
    • Proteus mirabilis
    • Escherichia coli
    • Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxytoca
  • 有効な抗菌薬
    • 標準治療薬:アンピシリン、セファゾリン、セフトリアキソン、アモキシシリン、セファレキシン
    • 限定的な状況での選択肢:ST合剤、レボフロキサシン、ホスホマイシン
    • ESBLs産生株に対して:セフメタゾール、メロペネム

PMSECK

AmpC型β-ラクタマーゼ(AmpCBL)を過剰産生する可能性がある腸内細菌目細菌のグループである。

  • 含まれる菌種
    • Providencia rettgeri
    • Morganella morganii
    • Serratia marcescens
    • Enterobacter cloacae
    • Citrobacter freundii
    • Klebsiella aerogenes
    • ※ 前3菌種はAmpCBL過剰産生が起こりにくい「PMS」、後3菌種は起こりやすい「ECK」に細分化される。
  • PMSProvidencia rettgeri、Morganella morganiiSerratia marcescens)は、抗菌薬曝露によるAmpCの過剰産生が5%未満と起こりにくい。そのため、感受性があればあえてセフェピムではなくCTRXなどの第3世代セファロスポリンで治療可能としている。過剰産生が20%と起こりやすいECKとは明確に区別して考えるアプローチである。
  • ECKEnterobacter cloacae, Citrobacter freundii, Klebsiella aerogenes):AmpC過剰産生が起こりやすい(約20%)。CTRXは不活化されるリスクが高いため避け、セフェピムを第一選択とする

  • 有効な抗菌薬_
    • 標準治療薬:セフェピム
    • 代替薬:メロペネム
    • PMSに対して:セフトリアキソン
    • 限定的な状況での選択肢:ST合剤、レボフロキサシン、ホスホマイシン

3. PAS

多彩な薬剤耐性を獲得し得るブドウ糖非発酵菌のグループである。それぞれ治療薬が異なる。

  • 含まれる菌種と有効な抗菌薬
    • Pseudomonas aeruginosa
      • 初期治療薬:セフェピム、ピペラシリン・タゾバクタム、メロペネムなど
      • 標的治療薬:セフタジジム、ピペラシリンなど
      • その他:アズトレオナム、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、トブラマイシン、アミカシン
    • Acinetobacter baumannii
      • 第一選択薬:アンピシリン・スルバクタム
      • 初期治療薬:メロペネム、セフェピムなど
    • Stenotrophomonas maltophilia
      • ST合剤、レボフロキサシン、ミノサイクリンから2剤を選択し併用。セフィデロコルも治療選択肢となる。

4. その他の主要なグラム陰性桿菌

上記のいずれのグループにも属さないが臨床的に重要な菌種である。

  • Haemophilus influenzae 耐性機序により第一選択薬が異なる。
    • BLNAS:アンピシリン、アモキシシリン
    • BLNAR:セフトリアキソン、セフォタキシム
    • BLPAR:アンピシリン・スルバクタム、アモキシシリン・クラブラン酸
    • BLPACR:セフトリアキソン、セフォタキシム

耐性機序となる「β-ラクタマーゼの産生」と「ペニシリン結合蛋白(PBP)の変異」の有無によって以下の4つに分けられ、それぞれ適した第一選択薬が異なる。

BLNAS(β-lactamase negative ampicillin susceptible)

  • β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン感性
  • β-ラクタマーゼの産生もPBPの変異も持たない野生株。
  • 第一選択薬:アンピシリン、アモキシシリン

BLNAR(β-lactamase negative ampicillin resistant)

  • β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性
  • β-ラクタマーゼは産生しないが、PBPの変異を持つ。本邦で分離されるHaemophilus influenzaeの約30%前後を占め、最もよく遭遇する耐性パターンである。
  • 第一選択薬:セフトリアキソン、セフォタキシム

BLPAR(β-lactamase producing ampicillin resistant)

  • β-ラクタマーゼ産生アンピシリン耐性
  • PBPの変異はないが、β-ラクタマーゼを産生する。
  • 第一選択薬:アンピシリン・スルバクタム、アモキシシリン・クラブラン酸

BLPACR(β-lactamase producing amoxicillin/clavulanate resistant)

  • β-ラクタマーゼ産生アモキシシリン・クラブラン酸耐性
  • β-ラクタマーゼの産生とPBPの変異の両方の耐性機序を併せ持つ。
  • 第一選択薬:セフトリアキソン、セフォタキシム
  • Salmonella
    • 第一選択薬:フルオロキノロン系抗菌薬
    • 代替薬:セフトリアキソン、アンピシリン

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